訃報:山崎元さんご逝去

投資
火焔熊
火焔熊

山崎元さんはポジショントーク無しに正解をはっきり言ってくれるとても貴重な方だったと思います。こういうオピニオンリーダーが失われてしまうのは本当に惜しい事です。

山崎元さん2024年1月1日にご逝去

 2024年1月1日に経済評論家の山崎元さんがご逝去されました。65歳でした。

 北海道出身で、北海道でも有数の進学校である道立札幌南高校から東大経済学部に進学、その後数々の証券会社等を経て経済評論家としてメディア等で広くご活躍されていました。

一貫した主張

 山崎元さんの主張は「手数料の高い投資信託や手数料が分からない or わかりにくい貯蓄型生命保険はダメ」だという点でいつでもブレることなく一貫されていました。それは「投資は良いものを選ぶことが重要であり、良いものはコストを見れば大方分かる。」という事だと私は受け取っています。経済評論家として第一線でご活躍されている山崎氏がこの姿勢を崩さずに訴え続けてきたことは、日本の投資家が良質な投資信託を選ぶ事の重要性に気づく一助となっていたと思います。

親しみやすいキャラクター

 歯に衣着せぬ物言いというのは話を聞く相手が信者ならば良いかもしれませんが、信者以外の聞き手には攻撃的に聞こえることが多く、中々内容を素直に受け止めることができないことが多いです。しかし山崎元さんはブレなく正しい事を述べているにもかかわらず、話にも嫌味が無く内容が素直に入ってくる方でした。このようにズバッと言うのに愛されるというのはやはり彼のような才能が無いと難しいのだと思います。もしかすると、「正義の愉快犯でありたい」という山崎元さんのモットーがそうさせたのかもしれません。

食道がんの公表後もメディアで活躍

 2022年8月に食道がんを公表されてからもメディアでの活動は続けられ、むしろ公表されてからの方が歯に衣着せぬ物言いに磨きがかかったようにさえ見えました。ただし、再発後2023年の後半からは目に見えて窶れてきており、見るからにしんどそうな印象を受けました。医療者の端くれの私からも「最後の時はそう遠くないのだろうな・・・」と思わざるを得ない状況でした。そして2024年1月1日に自宅で亡くなられました。

現在の日本の投資環境があるのは山崎元さんのおかげかもしれない

 私が投資を始めた20年前の日本の投資環境は一言で言うと酷いものでした。投資信託のラインナップはアクティブしかなかったうえに毎月分配型投信等がはびこり、パフォーマンスがまともな物がありませんでした。比較的ましな投資信託でさえ販売手数料と信託報酬の両方をとるのが当たり前でしたし、信託報酬が1%以下なんてほぼありませんでした。それが今ではノーロード(販売手数料無料)が当たり前、信託報酬が0.5%以下のS&P500や世界株連動型投信が選び放題と投資先を選べる目さえあれば良い投資先を探すのが非常に簡単になりました。山崎元さん等の功労者がこの20年で日本の投資家のリテラシーを高めた結果、良い投資信託が支持されることが増えたことで投資信託の淘汰が進み結果的に現在の恵まれた環境が醸成されていったのだと思います。

 それだけにまだ65歳と若く、まだまだやりたいことはあったのだと思うのですが今回のあまりにも早いご逝去は大変無念で言葉もありません。

 山崎元さん、本当にありがとうございました。ご冥福をお祈り申し上げます。

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